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採択率が通常枠の2倍!条件が合えば是非使いたい事業再構築補助金「最低賃金枠」

日本経済の持続的成長のため、労働者の賃金引上げが大きなテーマになっています。政府も経済界に賃上げの要請を行っています。2022年の最低賃金は、全国平均で31円引上げられました。これは過去最高の引上げ額です。
こうした中で、国の経済政策の一環である補助金においても、企業の賃上げを誘導、支援する施策が実施されています。事業再構築補助金でも第3回公募から「大規模賃金引上枠」と「最低賃金枠」が新たに設けられました。
このブログでは、事業再構築補助金第8回公募から要件が大幅に緩和され、採択率も優遇されている「最低賃金枠」について詳しく解説します。

事業再構築補助金「最低賃金枠」とは

事業再構築補助金の「最低賃金枠」は、最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な、特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築を支援するため設けられた類型です。要件としては、『2021年10月から2022年8月までの間で、3か月以上、最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いる』ことが必要です。

最低賃金枠の補助金額、補助率は次表のとおりです。

*表内をクリックすると拡大できます。

通常枠と比較すると、補助金額は、通常枠の最高額が8,000万円に対し、最低賃金枠は1,500万円、従業員数20人以下でも通常枠が2,000万円以内、最低賃金枠は1,000万円以内です。補助上限額は通常枠より見劣りしますが、補助率は、中小企業者等では通常枠の2/3に対し、最低賃金枠は3/4と高くなっています。

高い最低賃金枠の採択率!

補助金額の規模では通常枠が魅力的ですが、最低賃金枠は採択率が他の枠と比較し最も高くなっています。
公募要領でも次のように明記されています。

【最低賃金枠】は、加点措置を行い、【回復・再生応援枠】に比べて採択率において優遇されます。

事業再構築補助金公募要領(第8回)3P

「回復・再生応援枠」は、新型コロナウイルスの影響を受け、引き続き業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等の事業再構築を支援するため、第6回公募から新たに設けられました。この回復・再生応援枠と最低賃金枠の補助金額、補助率は全く同一となっています。

「最低賃金枠」がどの程度優遇されているかを通常枠、回復・再生応援枠と比較して見てみると次表のとおりです。

*表内をクリックすると拡大できます。

最低賃金枠の採択率は、通常枠の約2倍となっています。かなり優遇されている状況にあります。
また、最低賃金枠で不採択の場合は、通常枠で再審査されます。
補助金額や要件等の条件が合えば、最低賃金枠で応募するのが良いでしょう。

第8回公募から応募要件が緩和

このように採択率で非常に優遇されている最低賃金枠ですが、さらに第8回公募から応募にあたっての要件が緩和されています。

事業再構築補助金ホームページより

変更点は、

①売上高等減少要件の一つ(最賃売上高等減少要件)が撤廃
②最低賃金要件の期間「2020年10月から2021年6月まで」が「2021年10月から2022年8月まで」に変更
③事業再構築事業に該当するための条件となっている製品等の新規性要件の一つである「製造等に用いる主要な設備を変更すること」が必須要件から任意要件に変更(注)

の3点です。最低賃金の引上げに伴い影響を受ける中小企業等を支援するため、応募のハードルが引下げられています。

(注)事業再構築補助金の対象事業となるには、「事業再構築指針」で定めている「新分野展開」「事業転換」「業種転換」「業態転換」「事業再編」のいずれかの類型に該当する必要があります。各類型にはそれぞれ要件が定められていて、その一つに製品等の新規性要件があります。この製品等の新規性要件を満たすためにさらに3つの条件があり、そのなかに“②製造等に用いる主要な設備を変更すること”という条件があります。

詳しくはこちらをご覧ください。

👉事業再構築指針
👉事業再構築指針の手引
👉事業再構築の類型と要件について(「事業再構築指針の手引き」より)

申請要件と必要書類

「最低賃金枠」の申請にあたっての要件と必要書類について触れておきます。

*表内をクリックすると拡大できます。

[*1]最低賃金要件の注意点

① 最低賃金要件の全従業員数については、2021年10月から2022年8月までの間の対象月とする3か月それぞれの申請時点の常勤従業員数を基準とします。常勤従業員は、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」をいい、労働基準法第20条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」と解されます。これには、(ア)日々雇い入れられる者、(イ)2か月以内の期間を定めて使用される者、(ウ)季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者、(エ)試みの使用期間中の者は含まれません。
従って、正規社員のほか(ア)から(エ)いずれにも該当しない常勤のパート、アルバイト等も全従業員数に含まれます。

②  最低賃金額は地域別最低賃金額が基準となります。
地域別最低賃金:産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用される最低賃金として、各都道府県に一つずつ定められています。
 👉地域別最低賃金の全国一覧(厚生労働省)

[*2]最低賃金確認書の様式

👉最低賃金確認書(記入見本)
👉明細(記入見本)

 

申請にあたっては、
👉事業再構築補助金ホームページ
👉公募要領
をご一読ください。

なお、事業再構築補助金第8回の申請受付の締切りは、令和5年1月13日(金)です。

さいごに

令和4年度第2次補正予算案が11月8日に閣議決定されました。事業再構築補助金は継続され、最低賃金枠も要件等は変わらず継続される予定です。
補助金活用支援会(HKS)のブログでは、令和4年度第2次補正予算案について、その他の補助金も含め変更点等を紹介していますのでそちらもご覧ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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