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補助金逆引き事典。これがしたいときはこの補助金!
HKSでいただく中小事業者様からの補助金のご相談でよくあるのは、
- こんなことがしたいのだけど、何かよい補助金はありませんか?
- こんな補助金があると聞いたけど、当社がしたいことに合っていますか?
といったものです。確かにいろいろな補助金があるので、何にどの補助金がつかえるのか、なかなか掴みづらいですね。そこで今回は、「これがしたいときに、この補助金を使う」をテーマに、主要な補助金である、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、IT補助金を中心に、ミラサポPlus(※)掲載の事例などを交えながら解説します。
※ミラサポPlus:経済産業省・中小企業庁の中小企業向け総合支援サイト
設備を導入したい
ものづくり補助金の活用
製造設備であれば圧倒的にものづくり補助金です。新製品・サービス開発や生産プロセス改善のための設備投資に適用できます。例えば、ものづくり補助金のパンフレットには、
- 複数形状の餃⼦を製造可能な餃⼦全⾃動製造機を開発
- 「⾷べられるクッキー生地のコーヒーカップ」の製造機械を新たに導⼊
が事例としてあげれています。ミラサポPlusの採択事例もみてみましょう。
- 農園の野菜の生産効率向上のための、環境制御設備導入
- パン会社のアレルギーに対応したパン製造のための、強加熱の新型オーブン導入
- オリジナル商品の生卵を原材料にした「焼き菓子」製造設備導入
- 金型内製化のためのマシニングセンター導入
いずれも、事業者様の従来の取り組みにない生産性向上、新商品開発を行うための設備投資であることが特徴です。補助金の主旨にもかなうものです。ものづくり補助金は、補助率2分の1、従業員数によりますが補助上限額が750万円~と、魅力的な内容です。
小規模事業者持続化補助金の活用
小規模事業者であれば、小規模事業者持続化補助金も活用できます。こちらは補助上限50万円と、比較的小規模の投資を想定しており、例えば、飲食店・小売店・ホテルなどの店舗内設備や機器の投資に向いています。おなじく、ミラサポPlusには、
の事例が紹介されています。
試作品を開発したい
事業拡大に新製品の開発は欠かせません。開発に必要な試作には、ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金が活用可能です。ミラサポPlusにはものづくり補助金の採択事例として、
が紹介されています。ものづくり補助金は、単なる設備投資だけでなく、このような新製品・サービス開発のための試作品開発にも使えることは注目に値します。また、小規模事業者持続化補助金では、新しい商品やメニューの試作にも活用できます。
ITを導入したい
一言でITといっても、いろいろなタイプのITがあります。そのタイプごとに使える補助金も異なります。詳しくみていきましょう。
新規サービスのためにWebシステムを開発したい
新しいサービス提供のために新規にシステム開発する場合、ものづくり補助金が活用できます。ミラサポPlusには下記の事例が紹介されています。
ものづくり補助金は設備導入のイメージが強いですが、正式名称の「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 」の名前が示すとおり、ITによる新規サービス提供やサービス生産性の向上も対象になります。
会計・人事など業務アプリのクラウドサービスを導入したい
事務関連の業務効率化のために、クラウドサービスやITツールを導入したい場合、IT補助金が活用できます。例えば、ミラサポPlusには、下記の業務システム導入の事例が紹介されています。
なおIT補助金は、下記業務プロセスの業務アプリケーション導入を対象としています。
- 顧客対応・販売管理
- 決済・債権債務・資金回収管理
- 調達・供給・在庫物流
- 会計・財務・経営
- 総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス
- 業務固有プロセス
複数の業務プロセスにまたがったケースでは、最大450万円の補助金を受けられる可能性があります。また、これらのツール導入は、認定されたIT導入支援事業者と連携しながら進める必要があります。
ITツール導入はIT導入支援事業者の提案に頼りがちですが、事前検討が不足し、導入後に自社業務に合っていなかったということも起こりがちです。ツール導入前に、自社のどのような課題を解決するのか明確にし、適正に評価することが重要です。
PCやタブレットを導入したい
国の補助金では、一般的に補助事業の目的外でも利用できる「汎用品」は対象外とされています。PCやタブレットも汎用品にあたり、通常補助対象になりません。
ただし、今年からIT補助金において下記のケースに限り補助対象となりました。
- IT補助金で導入するソフトウェアの”会計・受発注・決済・EC”機能の利用のためのPCやタブレット
- ソフトウェアと同じIT導入支援事業者からの購入であること
- PCやタブレット以外に、プリンター、スキャナー、それらの複合機器も対象
ものづくり補助金、事業再構築補助金、小規模事業者持続化補助金では対象外です。
ECサイトや、ホームページをつくりたい
広告費、ウェブサイト関連費を補助対象にしている補助金(小規模事業者持続化補助金、事業再構築補助金など)の活用が考えられます。ただし、これらの補助金は、ECサイトやホームページ作成を主な対象としていません。補助金で実施する事業の一部分としての扱いです。
小規模事業者持続化補助金では、今年から補助金交付申請額の4分の1が上限です。ミラサポPlusに掲載された
の事例は、昨年のコロナ特別対応型(現在廃止)のケースですが、事業内容が新商品開発とそのECサイトとなっており、ECサイトだけでない点に注目いただければと思います。
また、事業再構築補助金は、コロナ環境下での思い切った事業転換を目的にした補助金です。補助事業そのものが新分野などの再構築事業であり、その補助事業に関するECサイトやホームページである必要があります。
なお、ものづくり補助金は、補助対象に広告費やウェブサイト関連費が無いため活用できません。また、都道府県の創業助成を目的にした補助金では活用可能なケースがあります。
宣伝を強化したい
チラシや看板
チラシ作成や看板などの設置は、販路拡大を目的とする小規模事業者持続化補助金が検討可能です。小規模事業者のみなさんは、ぜひご検討ください。この補助金は販路拡大が主旨のため、新商品展開や新しい顧客開拓といった内容で、その効果を明確化しておく必要があります。下記の事例が参考になります。
なお、ものづくり補助金は、補助対象に広告費が無いため活用できません。
ブランディング動画
企業のブランディング動画をご検討されている場合、コンテンツ海外展開促進・基盤強化事業費補助金(J-LOD)が活用可能です。この補助金は企業・団体のストーリー性あるブランディング動画の作成が対象です。単なる企業や製品紹介は補助対象とならない点ご注意ください。
建物を建てたい、工事をしたい
コロナ環境下での思い切った事業転換を目的にした事業再構築補助金は、補助対象に「建物費」が含まれているのが、他の補助金(ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、IT補助金)との大きな違いです。これは事業再構築補助金だけの特徴です。事業再構築に伴う新分野展開などで、建物が必要な場合、補助対象になります。
また、小規模事業者持続化補助金では、販路拡大の事業の一環で外装・内装工事や外構工事をする場合、補助対象になります。例えば、ミラサポPlus記載の次の事例では、販促活動のための施設の外構工事を補助事業としており、本体の販促事業自体は自主事業(補助対象外)にすることで、補助金が採択されています。
さいごに
いかがでしたでしょうか?以上は補助金活用例のほんの一部です。
補助金制度は、毎年、政策に応じて多くの制度が国や地方自治体から出てきます。ものづくり補助金、事業再構築補助金など主要補助金も、回を重ねるごとに内容が少しずつ変わっています。実際、大変複雑でめまぐるしく制度が変わるのが実態です。
HKSは補助金の最新動向を常にチェックしており、その動向をHKSホームページ内で解説しています。ぜひご覧ください。
HKSは最新情報をもとに、事業者様のニーズに応じた最適な補助金制度をご提案できます。充実した体制で事業者様のサポートを行っていますので、ぜひHKSまでご相談くださいませ。