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映像で自社をブランディングする為の補助金が公募開始 ~審査基準を徹底解説!~
補助金「J-LOD⑤」が3月末より公募開始しました!
J-LOD⑤(ジェイロッド・ファイブ)とは、「デジタル配信を念頭に置いたストーリー性のある映像の制作・発信を行う事業の支援」のための補助金です。
以前にもこの補助金をご紹介する記事を書きましたので、もしよろしければそちらもご覧下さい。
一応、骨子をピックアップすると次の通りです。
J-LOD⑤の骨子
・映像制作、配信、効果測定までの一連の取り組みに対し補助金で支援する事業
・企業による映像を活用したブランディングの取り組みと、コンテンツ産業のすそ野拡大の両面を目的としている
・映像にストーリー性があり、企業姿勢や理念に結びついている必要がある
・テレビCMは対象外、デジタル配信を行う映像の制作である必要がある
・制作した映像を配信し、効果の測定までを行う必要がある
・補助金の上限は1社につき1,000万円で、補助率は対象経費の1/2
・締切は毎月の月末、今年は5月末~9月末までの残り5回(もある)
この補助金の最大の特徴は、①ストーリー性のある映像を作り、②配信し、③視聴結果の効果測定をする義務があることです。
最近ではユーチューバーを名乗っていない方でも自身で企画を立てて映像を撮影し、配信することも珍しくありませんが、この補助金では映像を作って終わりではなく、配信して効果測定する必要があります。さらに言えば、あらかじめ「効果の目標」を立てる必要があり、定量的・定性的にその妥当性が評価可能かどうかを審査されるものです。
そこまでを行うとなると、上記の①、②、③をすべて自社で行おうとせず、映像製作・配信のプロフェッショナルに外注することも現実的な選択肢として検討する必要があるでしょう。もちろん、御社がそこに強みをお持ちであれば内製でも全く問題ありませんが、そうした事業者様は多くないのではないでしょうか。
では、具体的にどういった点が審査されるのでしょうか?
前回は趣旨や金額枠等の「当補助金の概要」をご説明したので、今回は「審査のポイント」について記事にしたいと思います。
審査基準について
公募要項の13ページ目に「応募された事業は審査委員会により以下のポイントで審査されます」として次の画像が掲載されています。
画像はクリックすると拡大できます。
ここで、上段の左上から順に見ていくのが普通かと思うのですが、「コンテンツ力」には中々難しそうなことが書いてあり、いきなりハードルの高さを感じてしまいます。
これを読むと、国内外における自社のブランディングが確立できていて影響力や知名度があり、有名なクリエイターに外注した上で、コンテンツの内容がブランドコンセプトに沿っているかが問われており、それらによって「コンテンツ力を証明せよ」と言われているように見えます。
・・・大手企業しか対象にしていないような冷たさを感じますよね。
こういう時は、応募要項から離れて「申請用フォーマット」を確認することをお勧めします。募集要項や手引きで悩んで頭を抱え続けるより、実際に何を書く必要があるのか?を知る方が近道であることがよくあります(ただし、補助金によって「書式フリー」の場合は、公募要項や手引きを読み込むほかありません)。
今回の「コンテンツ力」に該当する申請フォーマット部分は次の通りです。
どうですか?これを読むと、上記とはガラッとイメージが変わると思います。
「コンテンツ力」の記述内容として指定されているのは「コンテンツの内容(ストーリー)はブランドコンセプトに沿っているか」と「国内外における影響力や展開力はあるか(コンテンツの強みはあるか)」であり、これなら書けそうではありませんか?
では公募要項にあった「国内や他の展開先での知名度・実績」と「関連するクリエイターの実績」はどこに行ったのでしょうか。
他に、似たような項目としてあるのが、上記の「審査ポイントの説明図」で右から2列目にある「事業遂行力」に次の記入欄がありました。
これが「事業遂行力」にあるのと「コンテンツ力」にあるのとでは全く印象が違うと思いませんか?
ここでは本事業を遂行する能力を示せればよく、「これまでの実績がコンテンツ力を証明する」という建付けにはなっていません。
「コンテンツ力」はそのように解釈して下さい。
以上の様な若干の「?」はありつつも、その他の要素についてはほとんどが上記の「審査ポイントの説明図」通りの記入フォーマットとなっています。
これまででお分かりの通り、映像制作(ブランディング)と映像配信・効果測定(メディアプラン)のどちらも事業者様が自力で取り組むというよりは、プロフェッショナルである映像制作会社や広告代理店等に外注することを検討された方が良さそうです。
実際に、応募書類には「絵コンテ」や「企画書」、「制作・配信・効果測定の費用見積もり書」も含まれるため、これらの書類を自社、もしくは外注して作成する必要があります。
映像を制作する際のポイント
J-LOD⑤のサイトでは、公募要項に添える形で「(別紙)ストーリー性のある映像を制作する上でのポイント」という文書が公開されていましたので、そちらを詳しく見てみたいと思います。
「ストーリー性とは」の解説です。
J-LOD⑤では「映像にストーリー性があり、企業姿勢や理念に結びついている必要がある」とされています。
ただ、「ストーリー性」と言われても、今一つピンと来ないですよね。そうした声に応えるために「別紙」が添付されたのだとすると、ぜひとも紐解きたいです。
・・・ぜひとも紐解きたいのですが、このスライドは本文も分かりづらいので、「押さえておきたいポイント」を読み解いてみましょう。
①宣伝的な意図を感じさせない
テレビCMも、「自動車保険なら〇〇損保!」とか「やっちゃえ〇〇」、「当社の漂白剤〇〇は他社と漂白力が違います!(当社調べ)」みたいなコテコテの宣伝広告がある一方で、Googleやamazonのように「自社サービス(製品)があることで、あなたの生活が豊かになります」というシーンを見せることで付加価値を認知させる意図のCMも増えています。今回はどちらかと言うと前者よりは後者を指しているようです。ただしGoogleもamazonもテレビCMは15秒、30秒と尺が限られてしまうため、宣伝的な意図を感じさせないかといえば完全にそうとも言えません。「宣伝的な意図」の解釈は、映像制作者とよく話し合って下さい。
②楽しく、ワクワクして観られるエンタメ性がある
ここは演出力が問われるところですが、ただ物語が展開するだけではダメで、導入からラストへの展開がきちんと設計されていて、観ていて飽きさせないエンタメ性を有している必要があるようです。これは企画書や絵コンテでも確認されるところでしょう。
これにより、既存の関係者や顧客だけでなく、映像を視聴して初めて御社を知る一般的な生活者の興味を引くことも求められています。
③映像の世界に⼊り込み、観た⼈が共感できる
しっかりカット割りし、カメラの手ブレやピントなどの技術的な面で映像の世界を損なうことなく、逆に映像の世界に入り込めるための必要最低限の技術が必要ということでしょう。映画を観ていて、激しい手ブレや不適切なカット割りによって、盛り上がっていた気持ちがスッと冷めた経験、ありませんか?
この辺りは先述の「事業遂行力」や体制図でもしっかりアピールしたいところです。
④観た後に、映像をつくった企業や⾃治体の“ファン”になる
あくまでブランディングが目的なので、御社のファンを増やすための映像である必要があります。上記①から③をクリアすることにより、最終的に映像が喚起した「共感」が御社への関心や御社を支持する気持ちに繋がることを目指す必要があります。そしてそこを補助金申請時にアピールして下さい。
このページが重要です。なぜ今、映像にストーリー性が必要なのか?
SNS全盛時代に視聴者に受け入れられるためには映像にストーリー性が必要だという話です。
皆さんは「ステルスマーケティング(ステマ)」という言葉をご存じですか?
ステマ(ステルスマーケティング〉とは、広告・宣伝活動であることを消費者に秘匿し、一般消費者の口コミやレビューを装うなどして実施される、広告・宣伝活動のこと。当該商品・サービスの関係者が、善意の第三者による公正な判断を装い、当該商品・サービスに高評価(好評価)を下すことで、消費者の購買意欲を刺激しようとすること。(出展:実用日本語表現辞典)
色んな有名人によるステマが発覚し叩かれたことを覚えていらっしゃるかもしれません。
インターネットに映像が溢れるようになった昨今では、このステマに対する警戒心が高まっているのは事実です。インターネットのユーザーは、様々なデジタルマーケティングの機能により「自分が目にする映像」が何者かによってコントロールされていることを知っているため、警戒するのも無理はありません。
その一方で、インターネットは強力な「拡散力」を発揮することがあり、「荒らしへのスマートな対応」「不祥事を起こした時の企業側の姿勢」「企業が発信した映像のストーリー性」等が一度共感を集めると、一気に拡散することもよく起こります。
一般には、良い情報ほど強力に拡散すると言われており、こうした映像を制作して配信することで御社のブランディングを高めましょう、というのが本補助金の狙いです。
だから、CMの匂いを出さず、エンタメ性で視聴者を集め、視聴者の感情を動かすことによって「良いイメージ」を拡散するためにも、「ストーリー性のある映像」でなければならないということです。
ここでは、フィクション or ノンフィクション、実写 or アニメ、どれもOKということが述べられています。
ただし、製品やサービスを前面に出すと宣伝の匂いがしてしまうことや、社長のインタビューだけで構成しようとするとワクワクする映像になり得ずストーリー性を打ち出すことが難しいこと、などが説明されています。
極端な話ですが、社長役がドラマでよく見るあの俳優さんであっても、社長が空を飛ぶシーンがあっても、それが演出上でプラスの効果が狙えるのであればOKということでしょう。
映像を作る事前の企画段階において検討すべきことが書かれています。
映像制作のプロフェッショナルであれば、この部分は得意分野かと思いますが、これまで述べてきた「ストーリー性のある映像」の方向付けをする重要なプロセスです。
後述する「経営支援機関等」や弊社の様な「認定経営革新等支援機関」のアドバイザリーを得ながら、どういった映像であれば採択基準を満たせそうか、しっかりご検討下さい。
加点ポイント:外部コーディネーターとの連携
上記に「映像制作(ブランディング)と映像配信・効果測定(メディアプラン)はプロである映像制作会社や広告代理店等に外注することを検討された方が良さそう」と書きました。
実際に「審査ポイントの説明図」の下段中央を見ると、「コーディネーターとの連携」という記述があります。
この「コーディネーターとの連携」を申請用フォーマットで確認すると次の通りです。
まず『映像制作』です。
あくまで「加点要素」なので必須ではありませんが、当然ここを書けば採択ポイントが増えます。
ブランディング戦略立案が行える事業者として地銀・信金、商工会、商工会議所などの経営支援機関等が挙げられています。弊社も認定経営革新等支援機関なのでこれに該当します。
また、映像制作者がブランディング戦略立案も行う場合は兼任可とされています。
こうした外部の専門家と連携することで審査上の加点が認められます。
続いて『映像配信』です。
こちらは、完成した映像を効果的に配信するためのメディアプラン立案などを行える事業者との連携が加点になるとされています。具体的には、映像制作会社、広告代理店、印刷会社等とありますが、WEB制作会社などデジタルマーケティングの知見を有する事業者も含まれることでしょう。
配信先は国内に限らず海外も含まれます。現地語の字幕を入れたり吹き替えを行う「ローカライズ」も加点要素に含まれますので、海外でのブランディングを検討されている事業者様は、ぜひ補助金でチャレンジされてはいかがでしょうか?
映像を制作する主体であり、本補助金を利用される事業者様にとっても、せっかく作った映像作品が一人でも多くのお客様の目に触れてほしい、想いを受け取ってほしいとお考えになるでしょうから、自社で行える場合は別として「映像をお客様へ届けて効果を測定する」ことはプロに依頼して加点を得るという選択肢も十分に考えられるかと思います。
まとめ
今回は実際の申請フォームなどを見ながら、当補助金に採択されるための「ストーリー性のある映像」とは?について確認してまいりました。
昨今、より安価な費用負担でマスメディアよりもきめ細やかなマーケティングが可能であるというメリットから、インターネットを利用した「デジタルマーケティング」が注目を集めています。
この機会が、御社が当補助金を利用することによって「デジタルマーケティング」に取り組めるチャンスであるかもしれません。
また、映像による表現は国境を越えやすいコミュニケーション手法と言えます。視聴者のステマへの警戒心を乗り越え、御社のファン層を広げるための「ストーリー性のある映像」を制作し、幅広い引き合いの獲得や協業の促進、初商談前に御社を知ってもらうための自己紹介映像として、活用されてはいかがでしょうか。
弊社では、J-LOD⑤についてもご相談を受け付けさせていただきますので、デジタル配信を念頭に置いたストーリー性のある映像の制作・発信を行う事業に関心がおありの事業者様は、ぜひお気軽にお問い合わせ下さい。
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